「塩の湿地に消えゆく前に」ケイトリン・マレン著 国弘喜美代訳
ニュージャージー州アトランティックシティーの海の近くの湿地に2人の女性の遺体が並んでいるが、誰にも気づいてもらえない。かつてカジノで栄えていたが今はすっかり寂れてしまった街の片隅で叔母のデズと暮らすクララは、母親譲りの能力で他人の内面をビジョンとして見ることができる。
高校を中退して占いの店を開くクララの元に、3カ月前に失踪した18歳の姪ジュリーの行方を捜す男が来た。ジュリーのバンダナに触れたクララは、彼女の身に何か悪いことが起きたのは分かるが、それ以上は見えない。その日を境に不吉なビジョンをたびたび見るようになったクララは、スパで働くリリーの助けを借り、ビジョンの意味を読み解こうとする。
エドガー賞最優秀新人賞受賞の長編ミステリー。
(早川書房 2090円)