「みゃーこ湯のトタンくん」 スケラッコ著
オレの名はハラ。街の小さな銭湯みゃーこ湯で働いている。ここは昔ながらの銭湯で、薪をくべたり掃除をしたりと大忙しだが、平和な毎日だ。ただし、人間は自分だけでその他はみな猫だけど……。
始まりは1カ月前。雨の中、みゃーこ湯の前で倒れていたオレを助けてくれたのが、飼い猫のトタンだった。トタンのことは覚えていたが、自分が誰なのかも含め、何も思い出せない。そんなオレに、このネコの街で銭湯の主人を務めるトタンが一緒に働かないかと言ってくれたのだ。
やってくるのはほとんどが常連客(猫)だ。一番風呂のジン、銭湯巡りが趣味のチャータ、最近では黒猫の中学生のまめちゃん、大学生のアランくんもやってくるようになった。入浴前はブラッシングをし、かけ湯をしてから入浴のルールも、皆きちんと守っている。
ある日、銭湯で開催したマルシェの一角で占い師のはてなさんにオレも見てもらう。すると「あなたはここにいるべきなのかしら?」と。そしてヘビのおもちゃを見た途端、オレは……。
銭湯のモデルは滋賀県にある都湯。銭湯での仕事や愉快な登場人物が織りなす、銭湯×ネコ×小商いの日常を描く、心も体もあたたまる銭湯ネコマンガだ。
(ミシマ社 1650円)