ピアノからデッサンまで大人の学び方本特集

公開日: 更新日:

「明解!漢字名探偵」山口謠司著

 やりたかったができなかったことは誰にもある。ハードルが高いと思っていたのに、その道の達人にコツを教えてもらうと、案外得意になってしまうことも。今回はピアノからデッサンまで、人生を楽しむための「大人の学び方」をご紹介。



 象形文字である漢字は東アジアの国際共通語だった。苦手な人が漢字を解読する方法としてオススメしたいのが「六書」という分類法。「六書」は漢字を象形、指事、会意、形声、仮借、転注に分ける方法である。「象形」は物の形から作るもので、例えば「象」の字は動物のゾウが立ち上がった形だという。「会意」は、「木」を2つ合わせて「林」になるように、既にある字を組み合わせて作られた字である。

 これらは視覚的に作られた字だが、聴覚に基づく「形声」で作られた字もある。「江」は「水」と「工」を組み合わせて作った字だが、会意文字ではない。川の入り江を「gong(ゴン)」とよんでいたので「氵」にgongの音を持つ「工」を組み合わせたという。

 どうやって漢字が生まれたかを知ると、漢字に親しみがわいてくる。

(さくら舎 1980円)

「絵画と写真で掘り起こす『オトナの日本史講座』」河合敦著

 1945年9月27日、昭和天皇はアメリカ大使館に連合国軍最高司令官マッカーサーを訪問した。ふんぞり返る大柄なマッカーサーと、正装のモーニング姿で直立不動の小柄な昭和天皇が並んでいる写真が新聞に載った。マッカーサーはこのとき、天皇が戦争責任の自己弁護に来たと考えた。だが天皇は、「戦争遂行に当たって政治・軍事両面でおこなった全ての決定と行動に対する全責任を負う」のは自分だと告げて、我が身の処遇を連合国に委ねた。

 心を動かされたマッカーサーは、天皇を裁判にかけるようなことをすれば、日本の政府の機能がまひし、強固な共産主義政権ができると考え、天皇制の存続を認める方針を決定する。

 ほかに、終戦後の長崎で、死んだ弟を背負って火葬の順番を待つ少年など、写真や絵画の裏にある歴史を解き明かす。

(祥伝社 1650円)

「90分でいきなりピアノが弾ける本」monaca:factory著

 ピアノは88の鍵盤があるが、とりあえず50~60鍵のキーボードあたりを選ぶと、初心者は弾きやすい。まず右手の親指、人さし指、中指、薬指、小指でドレミファソを弾いてみる。左手は右手よりも2つ低いドに小指を置き、小指、薬指、中指、人さし指、親指でドレミファソを弾く。次に右手で「ド・ミ・ソ・ミ」とメロディーを弾きながら、左手で「ド」を押し続ける。左手で弾く低い音を「ルート音」という。両手で弾くと音に厚みが出る。

 次に和音の練習で、右手で「ド・ミ・ソ」を同時に弾く。ハ長調の「ド」の音は英語では「C」と呼ぶので、これを「Cメジャーコード」という。長調の和音である。「レ・ファ・ラ」を同時に弾くと短調の「Dマイナーコード」になる。
指一本で久石譲の「Summer」を弾くなどすれば、気分転換をしながら簡単に両手でピアノが弾けるようになるというわけだ。

(ダイヤモンド社 1650円)

「誰でも30分で絵が描けるようになる本」マーク・キスラー著 井上麻衣訳

 絵を描くときは、見たままを描こうとするのではなく、まず設計図を描くとよい。描きたいものがどんな図形で成り立っているかを見極める。三角形なのか円なのか長方形なのか。

 たとえば3分の1くらい皮を剥いたバナナを描く場合、バナナはカーブしている楕円形なので、ブーメランのようにゆるくカーブしたものを利用して、輪郭をなぞってバナナを描く。剥いて垂れ下がった皮の部分は三角形や長方形で構成されている。バナナのてっぺんから3分の1あたりに目安線を引き、垂れ下がっている皮はバナナの真ん中あたりから描き始める。次に、目安線に沿ってバナナの実の両側に三角形と長方形で皮を描く。形を整えて光の当たり方を考えて陰影を付ける。

 この4つのステップで簡単に絵を描く方法をイラストで例示しながら伝授する。

(東洋経済新報社 1650円)

「自分を変える!大人の学び方大全」宮崎伸治著

 金銭や名声、健康などの欲求が満たされても、人は心から幸せを感じられない。ギリシャの哲学者、アリストテレスは「エウダイモニア」こそ人生最高の幸せだと考えた。「エウダイモニア」とは、「人間の全ての優れた特性と価値ある活動が充分にその価値を発揮するような人生」である。それを達成するには4段階を経ることが必要だ。

 第1段階は「安心して生きていける収入を確保すること」。第2段階は「困難や脅威に対して適応できる力を養うこと」。第3段階は「困難を通して自分を磨き続けること」。第4段階は「自分の持ち味を生かして社会に貢献すること」。

 そもそも勉強とは高得点を取ることではなく、「知りたい」という知識欲を満たす、ワクワクするようなものなのだ。著者はロンドン大学の受講生のブログを読んで、東京にいても哲学の学位が取得できることを知り、チャレンジすることにした。

 人生を豊かにしてくれる「学び」のススメ。

(世界文化社 1760円)

【連載】ザッツエンターテインメント

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動