第一話 倫理的にあり得ない(16)何も言わず、グラスを差し出す

ハイボールを飲み干すと、奈美は大きなため息を吐いた。隣にいたタクミが急いでおかわりを作る。
「奈美さん、今日はピッチ早いっすね。俺もおかわりいいっすか?」
冷めた目でタクミを見ながら、奈美は文句を言った。
「いいけどさあ、飲んだ分、ちゃんと楽しませてよ」
…
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