元編集者が描くエロ本業界の激動「オリンピック開催でトドメを刺された感じ」
最近すっかり見かけなくなった成人男性向け雑誌業界が舞台の映画「グッドバイ、バッドマガジンズ」が話題だ。昨年10月に1週間限定で公開された自主製作映画だが、うらやましくも過酷なエロ本の編集業務を活写していて、SNSを中心に反響が大きく、再上映中である。
プロデューサーを務めた宮嶋信光氏は、前職が成人男性向け雑誌を手掛ける編集者だっただけに、作品はリアリティーに満ちている。
「30人以上の関係者に取材して、内容の9割近くが事実です。劇中の“付録DVDのモザイク処理が甘くて営業から激怒される事件”なんかは僕の実体験です(笑)」
そのじつ、出版不況のあおりを一番受けたのがエロ本業界であった。
「エロは今やネットで事足りちゃいますからね。そこにきてオリンピック開催でトドメを刺された感じです。訪日観光客に配慮して大手コンビニチェーンが取り扱いの中止を発表したのが2018年。すぐに2社ほど潰れました。オリンピックの開催が決定した2013年時点では、まさかこうなるとは思わなかったですからね」
こうして街から成人誌が消えたのだ。