(1)荷を抱え直し、産婆の背を追う
(一)
新月と満月の夜は、眠れないものと心得ている。
えっほ、えっほと、駕籠舁きが足を速める。その後を、遅れないようついてゆく。
頭上に光る月はなく、曇っているのか星も見えない。案内の者が手にした提灯の明かりだけを頼りに、先を急ぐ。
ひょうひょうと…
この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。
(残り1,248文字/全文1,388文字)
【ログインしていただくと記事中の広告が非表示になります】