「ナルコ回廊をゆく」山本昭代著
「ナルコ回廊をゆく」山本昭代著
「ナルコ」はスペイン語で「麻薬密輸」を意味する。メキシコは世界最大の麻薬消費国、アメリカと隣りあっているが、賃金は10倍もの差がある。世界の国がメキシコに工場を造り、低賃金で人びとを働かせる。その工業製品の運搬に紛れて、白い粉やカラフルな錠剤も運ばれていく。2014年からメキシコは「麻薬戦争」の嵐の中にある。
著者は人類学の調査のためメキシコを訪れているが、2022年に行ったとき、迎えてくれたのは「フエルテの追跡する女たちの会」の代表、ミルナだった。若い男が犯罪集団に連れ去られる事件が頻発しており、ミルナは息子が行方不明になった3年後に、息子の遺体を発見した。
家族を捜す女たちの闘いを追うルポルタージュ。
(風詠社 1980円)