「赤ちゃんポストの真実」森本修代著
「赤ちゃんポストの真実」森本修代著
2007年5月、熊本県の慈恵病院が「虐待され遺棄される赤ちゃん」の救出を目的に、親が育てられない子どもを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を開設。以来、今年3月までの約16年間で170人の子どもが預けられたという。そのうち、親が全く分からない子は31人、障害児も17人いる。
命を優先することを目的に設置された赤ちゃんポストだが、預けられた子どもの養育を担当する施設の職員には「合法的な遺棄」だと批判をする人もいる。
預けた人や預けられた子ども、病院の元看護師長、そして病院関係者など、当事者たちを幅広く取材し、彼らが抱える葛藤や赤ちゃんポストを必要とする社会の歪み、そして出自を知る権利や命について考える渾身のルポルタージュ。
(中央公論新社 1034円)