「果ての海」花房観音著
「果ての海」花房観音著
圭子は、階段から突き落とされて死んだ慎吾の遺体を前にして、出頭するか自らも死を選ぶかしばし悩み、逃げることに。妻子ある慎吾とは、13年間、愛人関係にあった。慎吾のおかげで娘の灯里を大学に行かせることもできた。しかし、圭子は慎吾の死に何の感傷も覚えない自分に気づいたのだ。
慎吾が隠していた金を持ち出し、圭子は半年前に出会い系サイトで知り合った元ホストの鈴木に連絡をする。鈴木の手引きで整形して43歳の沙世という別人の身分証を手に入れた圭子は、福井県の芦原温泉の旅館で仲居として働き始める。第一発見者になった灯里のことだけが気がかりだが、連絡を取ることはできない。やがて圭子はコンパニオンとして宴席にも出るようになるが……。
福井を舞台にした長編サスペンス。 (新潮社 737円)