「彷徨う者たち」中山七里著
「彷徨う者たち」中山七里著
2018年8月、南三陸町は東日本大震災と津波で壊滅状態となり、瓦礫の撤去作業により町はほとんど更地となっていた。被災者の災害公営住宅ヘの移転が進み仮設住宅の解体工事が始まる。
ある日、玄関も裏口も施錠されている仮設住宅の中で、男の死体が発見された。後頭部を鈍器で一撃されたのが致命傷になったらしい。被害者は南三陸町役場建設課土木係の掛川勇児と判明した。仮設住宅にはまだ3世帯が住んでいたが、住み慣れた土地を離れるのを嫌がるものもいた。掛川はそういう住民を、移転するよう説得していたという。
復興が進む被災地を舞台にした社会派ミステリー。
(NHK出版 1870円)