「江戸酒おとこ」吉村喜彦著

公開日: 更新日:

「江戸酒おとこ」吉村喜彦著

 灘の造り酒屋の次男・小次郎は、叔母夫婦が浅草で営む山屋で働くために江戸にやってきた。山屋の看板酒「隅田川」は灘の酒に劣らず江戸っ子たちに人気を博していたがここ数年は凋落。小次郎の江戸下りは、そんな山屋のテコ入れが表向きの理由だった。

 到着早々、小次郎は江戸でどんな酒が飲まれているのかを知るため茶屋に入り、隅田川を注文するが飲んでみると味も香りも薄い。隣席の浪人によると、多くの店が水で薄めた酒を出しているらしい。酒をなりわいにする小次郎には、酒のたましいまでも薄められているようで切ない。

 翌日、初仕事のために山屋に出向くと、龍之介と名乗る昨日の浪人が小次郎を待っていた。

 小次郎と龍之介、訳ありの2人が酒造りに奮闘する姿を描く時代小説。

(PHP研究所 957円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ日枝久相談役に「超老害」批判…局内部の者が見てきた数々のエピソード

  2. 2

    レジェンド落合博満氏が《とても不安の残る1年目》とバッサリ…実際問題どれくらいやれるのか?

  3. 3

    フジテレビは株主総会に戦々恐々…宿敵ホリエモンら“くせ者”が日枝久氏ら経営陣に退陣要求も?

  4. 4

    フジ女子アナ“上納接待”疑惑「諸悪の根源」は天皇こと日枝久氏か…ホリエモンは「出てこい!」と訴え、OBも「膿を全部出すべき」

  5. 5

    一部ファンが現実逃避? 中居正広“別人疑惑”再燃…「本人すでに死亡」と考える人々が現れる

  1. 6

    「Snow Man=めめ以外は演技下手」定着のリスク…旧ジャニのマルチ売りに見えてきた限界

  2. 7

    兵庫県百条委メンバーの前県議が死亡、ついに3人目の犠牲者…斎藤元彦県政「誹謗中傷」放置の罪深さ

  3. 8

    菊間千乃弁護士、堂々の「情報7days」出演にフジテレビへの忠誠心を感じたとする声が続々

  4. 9

    大谷の「お荷物」にならないか…間もなく第一子誕生&二刀流再開のところに“同郷の後輩”

  5. 10

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事