「炭酸ボーイ」吉村喜彦著
小さなコンテンツ制作会社に勤務する涼太は、宮古島に飛ぶ。航空会社の機内誌で特集する泡盛の取材が目的だ。
すべての酒造所をめぐるつもりだが、島の最北端・青崎の集落にある「仲間酒造」の連絡がつかない。事前の調査では休業中とのことだが、詳細が分からず訪ねてみることに。
応対してくれた仲間によると杜氏(とうじ)が亡くなり酒造りができないという。せっかく来てくれたのだからと、代わりに井戸からくんだ水を飲ませてもらった涼太は仰天する。これまで飲んだことがない味わいのある天然の炭酸水だったのだ。聞くと突然、自然に湧き出したらしい。炭酸水を東京に持ち帰った涼太は、事務所の社長・真田を説得して、炭酸水の商品化に動きだす。
人気「バー・リバーサイド」シリーズの著者による大人の「再生」物語。
(KADOKAWA 748円)