(68)源内が雷神を封じ込めたらしい
昼下がりの吉原、鱗形屋孫兵衛が油ぎった顔に好色を上塗りして花魁を迎える。さほど遠くもないところから、蔦重が注視しているのを気づきもしない。
蔦重と並んで座る娘が、心配そうに彼をみやった。
「どうしたの? 急に顔色が悪くなっちゃったけど」
「いや、何でもありま…
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