(69)富本豊前太夫は仇名通りの馬面
筆をおき、帳面を閉じる。腕を組み、眼をつむって、唇を結ぶ。そして唸る。
「う~む」蔦重の頭の中で、やりたいことが大声でやりあっている。こっちが先だ。待て、それの方が大事、ダメダメまずはあっちを片付けろ。それぞれは別個のようでいて、複雑に絡み合っているから始末が悪い。
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