向き合い方を知る!今どきの医療新書特集

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「末期がん『おひとりさま』でも大丈夫」長田昭二著

 日々更新を続ける医療の世界において、昔常識だったことが今も通用するとは限らない。ならば、今どきの医療との向き合い方をサクッと一望できる新書を探ってみてはいかが。今回は独り身のがん闘病、歯科治療の最新状況、医療情報の真偽の確かめ方、ウイルスの正体に関する4冊をご紹介!

  ◇  ◇  ◇

「末期がん『おひとりさま』でも大丈夫」長田昭二著

 前立腺がん「ステージ4」の宣告を受けた医療ジャーナリストで独り身の著者が、がんの発覚から検査や治療の内容と流れ、医療行為の副作用と合併症などに触れつつ、「おひとりさまのがん治療」のリアルを赤裸々につづった闘病記。

 著者は人一倍、医療分野の知識がありながらも、怖さと恥ずかしさで検査を先延ばしにしてしまったという。

 ほかにも、後悔しないための医者選び、手術するか否かの判断、治療にかかる費用などの情報はもちろん、最新のがん治療や終末医療についての情報も網羅。「おひとりさま」だからこその家事や終活の在り方などについても触れていく。

 いつかはやってくる最期の瞬間まで、後悔しないように仕事も趣味もできる限り楽しんで生きていくとはどういうことなのか、当事者だからこその言葉が胸を打つ。

(文藝春秋 1023円)

「ウイルスはそこにいる」宮坂昌之、定岡知彦著

「ウイルスはそこにいる」宮坂昌之、定岡知彦著

 新型コロナ感染症の流行を契機に、ウイルスへの関心は高まったものの、さまざまな情報が飛び交い、そもそもウイルスとはどんな存在なのか多くの人が把握していない。ウイルスの正体を明らかにしつつ、現在、医学がウイルスに対してどのように対処しているのかを本書は解説する。

 本来、ウイルスは特別な病気を引き起こすものだけでない。人類に共存・共生し、種類によって時に潜伏し時に牙をむくものとしてすぐそばにいた。やっかいな病原性のウイルスは、変容を繰り返し、免疫の司令塔を無力化し、延命を図るためさまざまな戦略を繰り出し、人類はワクチンによりその被害を食い止めようと試み続けてきた。

 ウイルス全部を排除しようとするのは実は現実的ではない。いかにうまく共存すべきかを考えるべきだと説いている。

(講談社 1012円)

「歯を磨いてもむし歯は防げない」前田一義著

「歯を磨いてもむし歯は防げない」前田一義著

 歯を磨いているのにすぐ虫歯になってしまう--。そんな経験がある人は少なくないだろう。本書は、日本の歯科医療の常識がいかに世界基準から外れたもので、その常識がいかに歯を損なう結果になるのかを解説した書。

 たとえば、朝起きてすぐ歯を磨く行為。口を清潔にして朝食を食べるという一見良さそうな行動だが、朝一の歯磨きは唾液によって生じるタンパク質の薄い膜を落としてしまう。その膜は酸で歯が溶けるのを抑制するため、歯磨き直後に酸味の強い食べ物を口にすると歯が溶けやすいらしい。

 歯科先進国スウェーデンの治療を紹介しながら、歯の根幹治療や歯周病に関する最新知見も紹介。

 歯の健康は健康寿命と関係が深いにもかかわらず、安さと見た目を優先しがちな従来の常識に疑問を投げかけている。

(青春出版社 1100円)

「その医療情報は本当か」田近亜蘭著

「その医療情報は本当か」田近亜蘭著

 医療情報を探していると、一方で「劇的に効く」ように報じられ、もう一方で「まったく効かない」と伝えられることはよくある。専門知識を持たない素人は、どのように情報の真偽を見分けるべきなのか。

 本書は、京大で医療情報の科学的根拠(エビデンス)研究を行う専門家医師による医療情報リテラシーの書だ。

 日本の新聞の医療報道が日本人の研究ばかりに偏った報道がされていることを皮切りに、統計やデータの数字の見方、医療広告への接し方など基本的な情報の受け取り方などを解説。

 さらに適切な医療情報を入手するための「一般向けの診療ガイドラインの解説書」や診療ガイドラインの検索サイトの活用法、翻訳機能を駆使した海外の論文へのアクセス方法も紹介。自ら最新情報を取りに行く攻めの方法も教えてくれる。

(集英社 1265円)

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