「人生の壁」養老孟司著
「人生の壁」養老孟司著
肺がんを患いながら87歳を迎えた著者が、あらためて人生について語る生き方エッセー。
まずは「子どもの壁」と題して、現代の子どもたちが抱える問題や、子育てについて。少子化対策として子育て世代におカネをばらまく政策に疑問を投げかけ、子どもたちの自殺の多さを危惧。今の社会は子どもを大切にしていると言いながら、実は大切にしていないような気がするという。将来のためにと子どもにさまざまなことを強いる風潮を指摘しながら、「子どもには子どもの人生があり、その毎日が大切なものだと考える。これが子どもを大切にする基本」なのではと説く。
以降、青年の壁から、世界、日本、政治の壁、そして人生の壁と、自らの人生も振り返りながら、誰にも立ちはだかる「壁」の乗り越え方を語る。
(新潮社 968円)