「養老孟司の人生論」養老孟司著
「養老孟司の人生論」養老孟司著
まもなく70代(執筆当時)を迎え、高齢者の仲間入りをするが、ひとつだけまだ「済んでいないこと」があると述懐。それは死ぬことだと、まず死について自らの考えから語りだす逆向き人生論。
死は人生の大事件ではあるが、考えても無駄だと指摘。死ぬときの自分の気持ちなど分かるわけないのだから、死ぬのは私ではない、別の人と考えれば良いという。「現に死にそうな私」は「いまの元気な私」ではないのだから、その2人は別の人だというのだ。死ぬことはその人に任せておけばいいと。
一方で、「自分の死はどうでもいい」という考え方は戦時中の特攻などの危険思想につながる可能性もあると考察。
ほかにも人生を左右する運や、家族、仕事、宗教など、縦横無尽のテーマに独自の視点で切り込む。 (PHP研究所 891円)