「大人のブルーハーツ」スージー鈴木著
「大人のブルーハーツ」スージー鈴木著
1985年から1989年ごろ、著者ら直撃世代は震えながらブルーハーツの音楽を聴いていた。それから40年近く経ち、恋愛や仕事、成功や失敗など、さまざまな経験を重ねた今は、彼らの音楽に違う震え方をするのだ。
加えて、大人の視点から彼らの音楽を“再解釈”するだけではなく、令和の大人の問題意識や感性で“新解釈”を著者は試みる。当時の彼らの曲があの時代に対して何を歌っていたのか、そして今の時代に対して何を歌っているのかなど、新たなブルーハーツ像が立ち上がる。あの頃、正直、よく分からなかった「1000のバイオリン」中の“支配者たちはイビキをかいている”という一節は、反権力の精神が薄れる今だからこそ、刺さる言葉なのだ。
音楽評論家が青春時代の音楽に再び向かい合う。 (廣済堂出版 1870円)