「野菜と果物のフードペアリング」ラファエル・オーモン、ティエリー・マルクス著、石川伸一監修、神奈川夏子訳
「野菜と果物のフードペアリング」ラファエル・オーモン、ティエリー・マルクス著、石川伸一監修、神奈川夏子訳
フレンチの定番である鴨肉とオレンジをはじめ、バニラとチョコレート、トマトとバジルなど、世界中の誰もがおいしいと感じる食材の組み合わせというものがある。ほかにも食材の組み合わせは無限の可能性を秘めているのに、私たちはまだそれに気づいていないという。
本書は、80種類もの野菜と果物の味わいを分子単位で徹底的に分析し、その科学的根拠をもとにこれまでにない新たな食材の組み合わせを提案する新感覚の料理手引書。
食材をガスクロマトグラフィー(質量分析法)を用いて、その風味を体系的に分析し、香水や香料の世界の手法を用いて、まず15種類のアロマ(香りの傾向)に分類する。
例えば、日本人にお馴染みの海藻は、「ヨード」のアロマタイプ。
ワカメならキウイとマスタード、アオサならリンゴとブルーベリーなどサラダ感覚で食べるものから、海藻とジビエとローストしたヘーゼルナッツなどの調理系まで、主食材を含め3つの食材からなるペアリングを10通りほど紹介。
さらに、ミシュランの星付きシェフである著者のマルクス氏(ちなみに相棒のオーモン氏は材料物理化学者)が考案したレシピも食材ごとに添えられている。
海藻なら「子羊のフィレ、ワカメ入りライスブレッドと磯の香りの薬味添え」といった具合だ。
「草のようなグリーン」のアロマタイプのキュウリには、ダークチョコレートとミントなど意外な組み合わせも提案。これは著者らも絶賛のおいしさらしい。
ほかにも、ほうれん草にはローストしたモモと日本酒など、1500組ものペアリングとその料理法を網羅。
マンネリ化した食卓に新しい風を起こしてくれそうな一冊だ。 (グラフィック社 2970円)