「遊びと利他」北村匡平著
「遊びと利他」北村匡平著
子どもにとって遊びの空間である公園や園庭は人間形成の重要な場所だ。著者によると、その公園が2000~10年代にかけ、大きく変質したという。豪華な遊具も増えたが、子どもたちの遊び方も、以前とは異なるものに変化しているそうだ。
それは、映像配信などの娯楽空間で起こっているのと同様、管理化・効率化の問題だと指摘する。つまり、リスクを回避し、不安定な状況を好まず、効率よく遊び、情報を得ることが何よりも重視される。
他者と相互にポテンシャルを引き出し合うのではなく、お互い自らの利益のために他者をコントロールするよう振る舞う。
子どもたちの遊び場の空間を観察しながら、現代社会の危機的状況を描き出し、「利他的な環境の構築」にその解決のヒントを見いだす社会論。 (集英社 1265円)