「キャプテン・フィリップス」主演 トム・ハンクス「今ある危機を同世代の男性に感じてもらいたい」

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 中間管理職のかがみかもしれない。米俳優トム・ハンクス(57)が本作で演じるフィリップス船長は、2009年にソマリア海域で起きたコンテナ船海賊乗っ取り事件の被害者。乗組員20人の身代わりに、ただひとり人質となり、徒手空拳で立ち向かう。

――実際に船長に会って、取材した上で役をつくり込んだそうですね。

「ええ、一緒にTVでバスケの試合をビールを飲んで見ながら、ね。実体験をとてもフランクに話してくれて参考になったんですけど、最も印象的だったのは、船長がどこにもいるごく普通の中年だったこと。とても気さくで、驚きました。事件のことはニュースで知っていたのですけど、ヒーローはこんな人だったのかと。遠くに感じていた事件がとても身近に感じられ、自分だったらどうすると、追体験した気分になりました。同じような立場の中年男性には、とてもリアルに感じていただけると思いますよ」

――海で海賊に襲われるような危険は、今の世の中どこにいたってあり得ると。

映画には痩せ細ったソマリアの若者4人が登場しますが、犯人だからといってイコール悪人というほど単純じゃない。犯罪の裏には、腐敗した貧しい国と絶望的な状況がある。世界は貧富の差が広がり、とてつもなく不公平だということが背景にあります。今の世の中で一番やっちゃいけないのは、生きる希望のない若者に機関銃を与えてしまうこと。残念ながらそれは現実に起こり得てしまう。今そこここにあるような犯罪として描いたことに本作の意義があると思う。シミュレーションとしても、捉えていただけると思いますね」

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