ラッシュ/プライドと友情 ロン・ハワード監督
「最高でしたからね。自由で、何に束縛されることなく、たくさんの人が未知の世界へと飛び出していった。大変な目に遭った人もいましたけど、野性的で官能的な時代の記憶を映画で呼び起こせば、面白いと思いました」
――豪雨にかすむ富士スピードウェイでの最終決戦のシーンも、思い入れが強いと聞きました。
「よくぞ聞いてくれました。伝説となり、半ば神話化しているレースですからね。当初はたくさんCGを使うプランだったんですが、テスト撮影で名ドライバーたちが数百万ドルもする高価なマシンを自在に操り、エグゾーストノイズ(爆音)や圧倒的パワーを目の当たりにして、実際にカメラで撮ることにしました。卓越したドライバーがレース中に感じるゾーンという境地まで、マシンに乗っているかのような感覚を出したかった。私もハンドルを握ってみましたが、とにかく普通じゃないんです。安全に撮ろうと言っておきながら、雨の日の撮影で、自分で予定にないスピンをさせてしまったときは、仰天でしたよ」