「振り子」主演 小西真奈美
世知辛い世の中で夢が破れ、時に自暴自棄になりながらも、ネクタイを締めて働く。そんな男に寄り添い、献身的に支える良妻を演じた小西真奈美(35)が、先の沖縄国際映画祭で主演女優賞を受賞。上映会では満場の拍手に包まれ、涙を光らせた。
――原作はお笑い芸人、鉄拳が描いたパラパラ漫画です。妻サキの役は脚本を読んだ段階から引き込まれたそうですが、どこに引かれたのですか。
「とにかく一生懸命で、良い時もそうでない時も、大介さん(中村獅童)が帰ってきた時だけは精いっぱいの笑顔で迎えるところですね。とても普通なんですけど、妻として、母として、とても力強く、『幸せにして欲しいなんて思ってない。大さんの夢に私が乗せてもらっているんだから』と言ったりする。昭和から平成にかけて、日本にたくさんいるであろう、理想の女性像だと思ったんです」
――病に倒れたサキが表情を変えることもしゃべるのが難しくなっても、気持ちを表現しようとする場面は引き込まれました。
「言葉に出せなくても、サキは生きていて、たくさんの気持ちが変わらずにあるんですね。それを伝えたい、伝われと思って、臨みました。撮影は毎日が睡眠時間2~3時間で10日間、とてもタイトでしたけど、いい緊張感が生まれ、演技に集中させてもらえました。撮影中は出来る限り獅童さんの近くにいさせてもらい、竹永典弘監督からは自由にやらせていただきました。とても感謝しています」