蟹江敬三、ここにあり 迫真演技が堪能できる2本の必見邦画
2つの演技とも、70年代に多く演じたいわゆる“悪役”からの脱皮を目指したようにもみえる。だから、いまだに悪役・蟹江と報道されていることが、この2作品の強烈な印象からすると不思議に思えてならないのだ。
蟹江さんは報道で流された「徹子の部屋」(83年放送)で、「あらゆるレッテルから自由でありたい」と語っていた。
俳優とは多くのさまざまなレッテルが貼られる職業でもある。蟹江さん、それがとても嫌な人だったのだろうと思う。味があって得難い、とてもいい俳優だった。
(映画ジャーナリスト・大高宏雄)