「ビールはチェイサー」「1軒15杯以上」 堂珍嘉邦の酒人生
酒は、そのときの心境が増幅されるから、いいライブを終えた後は大勢でワーッと騒ぐ。逆に、ストレスがたまっているときは気のおけない友達とサシ飲みか、いいマスターのいる店に行き、独り飲みで鬱々(うつうつ)した気分を噛みしめる。それもまた自分を見つめるのに必要な酒なんじゃないかと思います。
マスターって、男同士の会話、ガールズトークじゃないけど、ボーイズトークがしたくて行くんですよね。今回の映画「醒めながら見る夢」は京都撮影で、作中に出てくるバーとそこのマスターがすてきで、撮影が終わってからもう一回飲みに行きました。
赤をベースにした和室で、ドカンとスピーカーが鎮座している。そのアンバランスさがなんとも落ち着く。マスターも映画に出演していて、「酒と女とロック」って感じで、ちょっと引くほどこわもてだけど中身が優しい。ギターのアンプの話をしながら飲んだ酒がうまかった。変に気を使わない、プライベートを根掘り葉掘り聞いたりせず、お互いの領域は侵さない。でも、人生のことは熱く語れる。絶妙な距離感を保ちながら、下手をすると友達以上に深く語り合うこともできる、それがボーイズトーク、つまりはマスターの魅力なんだと思います。
僕にとって酒は男の幅、音楽の幅を広げる大事なコミュニケーションツール。映画で出合った京都のバーを通じて、なくてはならないものを再確認しました。