「ミカンが実る頃」歌った藍美代子 銀座ママまでの紆余曲折
とはいえ、歌手だけで食べていけるほど甘くはない。
「それで生活費を得るため、慣れてる夜のお店を持つことにしたの。で、どうせ出店するなら銀座じゃない。6月10日に仙台から引っ越して来て、すぐに物件探しを始め、三十数件の中から見つけたのがここよ」
広さは8.5坪。カウンター4席にボックス席の合わせて10席。仙台時代よりもやや狭くなったそうだ。
「ワタシと銀座歴が長いチーママさん、それと女の子の3人がお相手します。料金? セット料金でおひとり税込み1万2000円。ボトルキープは8000円からと銀座にしてはお安い設定でしょ」
■借金を15年かけて完済
さて、藍さんは70年11月「純エリ子」の芸名でデビューし、“歌うミス平凡”で売り出したが、プロモーションをめぐる行き違いでいったん引退。その後、73年4月からスタートしたオーディション番組「スター・オン・ステージ あなたならOK!」(NET・現テレビ朝日)の第1回優勝者になり、同じ年の8月「ミカンが実る頃」で再デビュー。これが50万枚を超えるヒットになった。