俳優・長谷川初範が語る貧乏時代「4畳半に倒産した父が」
洗練されたルックスとダンディーな雰囲気が魅力の長谷川初範さん(60)。60歳になった今もドラマや映画、舞台で活躍中。意外にも、若い頃は食うや食わずだった。
■映画や演劇を見た時は夕食抜きになり命がけ
一番おカネがなかったのは東京に出てきてまもなくの頃。生まれは北海道の紋別で、家は長谷川商店っていうお店を営んでいました。当時の紋別は、金は出るしニシンや鮭は取れるしで活気にあふれ、父親が営む「マート〆一」は道東でナンバーワンの売り上げを誇るほど繁盛していました。ところが、高校生の頃から経営状態が悪くなった。
なのに、ロータリークラブの交換留学生として、高校時代に1年間米国留学して以来、日本の理解を広める映画を作りたいと思うようになって、卒業後は南カリフォルニア大学の映画科へ留学したいと思っていた。でも、1ドル=360円の時代で、家が傾き、「留学したい」といえるような状況ではなくなった。そこで20歳で上京、今村昌平監督が作った横浜放送映画専門学院(現日本映画大学)に入学し、演出家から俳優へ志望も変えました。