監督手腕にも疑問符 アンジ―「不屈の男」低空飛行のワケ
やっぱり――。ネットをはじめ「反日だ」といった批判の声が相次ぎ、日本でお蔵入りしそうになった米映画「不屈の男 アンブロークン」(アンジェリーナ・ジョリー監督)がようやく封切りとなったが、サッパリ盛り上がらない。国内で一番早い上映となった「シアター・イメージフォーラム」(東京・渋谷区)。公開初日(6日)こそ劇場前で列をなす観客の姿が見られたが、翌7日夕の上映回は全108の客数に対し、入りは6~7割程度。本国の公開から出遅れること1年2カ月、お世辞にもヒットとはいえない状況なのだ。
原作は、第2次世界大戦で日本軍の捕虜となった元五輪選手ルイ・ザンペリーニの半生を描いたノンフィクション。その中に日本兵が人肉を食べるといった過激な記述があるため、映画でも描かれるのではないかと物議を醸した。そんなあらぬ噂は実際に本編や試写を見た人々によるレビューによりかき消されたが、逆に、作品の全容がダダ漏れ状態に。米アカデミー賞で3部門にノミネートされるも結局無冠に終わったことも重なり、公開前から人々の関心が薄れてしまった不運な作品といえよう。
肝心のアンジー監督の手腕もビミョーだ。映画批評家の前田有一氏はこう言う。