<第1回>「文春」好調の秘訣 なぜスクープを飛ばせるのか
しかし元「週刊文春」編集長の花田紀凱氏は「全く理解に苦しむ処分。あんなグラビアで編集長が休養なら『週刊ポスト』なんか、しょっちゅう編集長休養だろう」「スクープに次ぐスクープで週刊誌界、いや不況の雑誌界をひっぱってきた新谷編集長をこんなことで腐らせてはあまりにもったいない」と苦言を呈し、「一刻も早い処分撤回」を求めていた。
私が20年間に仕えた「週刊文春」編集長は7人。それぞれが有能で個性があり、出版業界では「雑誌は編集長のもの」と言われるように、編集方針もガラッと変わる。
「親しき仲にもスキャンダル」がモットーの新谷氏は、2012年のフジサンケイ広報フォーラムで「スクープはどこから生まれるか」という題目で講演。その言葉の中に答えが詰まっているので紹介したい。
〈週刊文春は1959年の創刊以来、「新聞・テレビが書けない記事」を書くという方針で、数々のスクープを報じてきました。ただ最近は、以前にも増してマスコミ全般がタブー視して、書けないことが増えてきたように思います。週刊文春が、政治家や芸能人のスキャンダルを報じても、他のマスコミが後追いしないケースが多いのです。その結果、当事者にとって都合のいい情報ばかりが発信されることになる。それは非常に不健全なことだと思います。世の中に対して大きな影響力を持つ人物をさまざまな角度から紹介するのがマスコミの大切な役割の一つだと思います。私が常に現場に伝えているのは、「『王様は裸だ!』と叫ぶ勇気を持て」ということです〉