寅さん全作に出演…前田吟が山田洋次監督から得た“財産”

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 実力派バイプレーヤーとして、ドラマ映画で大活躍、バラエティー番組でもキラリと光る俳優の前田吟さん(72)。芸歴は52年になるが、下積み時代の前田さんを見いだしたのは映画監督の山田洋次さん(84)だった。

  ◇  ◇  ◇

 私が役者として食えるようになったのは、なんといっても、松竹映画「男はつらいよ」シリーズに山田監督が抜擢してくれたからです。渥美清さん演じる寅次郎の妹さくらの夫、印刷工の諏訪博役として全48作に出演させていただき、それが大きな財産になっています。

 第1作公開が1969年ですから、もう47年も前のことですね。

 当時、私は25歳。俳優座養成所を修了し、役者になって5年目くらいでした。テレビや映画で主役もやっていました。でも、経済的にはまだまだ恵まれていません。主役を演じた翌週には通行人のエキストラを引き受けることも珍しくなく、すでに結婚していましたので、とにかく生活するのが大変な時期でした。

 山田監督に初めてお会いしたのは新宿の厚生年金会館で行われた映画「ドレイ工場」の試写会でした。この作品で私は主人公を演じていて、山田監督がずいぶん気に入ってくださったそうです。

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