巨泉さん追悼 吉川潮氏「米人気番組を日本風にアレンジ」
若い頃、テレビの構成作家としていくつかの番組に関わった私の目から見ると、巨泉さんはテレビ先進国だったアメリカの手法を日本に上手に取り入れることができた人といえると思います。
実は「11PM」には米国の人気番組「ザ・トゥナイト・ショー・スターリング・ジョニー・カーソン」という原形があった。番組のコンセプトは男のワイドショー。ただし、巨泉さんの凄いところはジョニー・カーソンが扱わなかった麻雀や釣りなどを加えて見事に日本風にアレンジしたところです。
クイズダービーも全く同じ。そっくりな番組が米国にありました。しかし、ここからが巨泉さんの本領発揮で、「三択の女王」や「宇宙人」など回答者それぞれをキャラクターづけして、独自の番組にしてしまいました。
当時からお笑いに興味を持ってた私にとって最も衝撃だったのは「ゲバゲバ90分!」を見た時です。それまでのお笑い番組といえば落語家か漫才師が出るのが当たり前でしたが、「ゲバゲバ――」に登場するのは宍戸錠や小川知子といった一流俳優ばかり。この人たちが次から次へとコントを演じるスピード感は実に斬新でした。
一方で、素顔はインテリなのに「ハッパフミフミ」などと訳の分からないことを言って笑わせてみたり、実に粋な人でした。ご冥福をお祈りします。(談)