ラオス山岳民族と絆 原田龍二が語る「ウルルン滞在記」
2回目は翌99年。僕の姿を見るや、子供たちは飛びついて喜んでくれて、大人も「先生」「先生」と大歓迎。
そして3回目が最初の訪問からちょうど10年後の08年。9年ものブランクがあったのに、村の人たちは僕のことをよく覚えていてくれて、大人になったかつての教え子たちが「春が来た」「森のくまさん」を合唱して迎えてくれたのです。
おそらくその間、村に日本人は訪れてはいないでしょう。でも、2曲はずっと歌い継がれ、愛唱歌のようにみんなで口ずさんでいたのには感激しましたね。
ただ、悲しいことに18人の教え子のうち3人が病気やケガで亡くなっていました。住環境の厳しさも痛感すると同時に、実は「先生」は僕ではなく彼らなんだと気がついたのです。
豊かではないけれども、人間らしい営みがあり、感性が磨かれている。行く先々で肌で感じたこと、目の当たりにしたことはインターネットで得ることのできないことだらけです。
機会があれば、訪れた村や町へもう一度行ってみたい。以前、会った人や子供は今どうしているのだろう……。「ウルルン」が終了して9年。最近とみに、そう思うようになりました。