「人間にとっての恥は立派になること」と語るタモリの美学
「自分史って言葉、大嫌いなんだよね」(タモリ/テレビ朝日「タモリ倶楽部」5月4日放送)
ある文庫本の裏表紙にある「自分史上最高の――」などという“ウラスジ”を紹介中、タモリ(72)が、わざわざ割り込んで漏らした言葉を今週は取り上げたい。
タモリの座右の銘が「適当」であることは有名だ。他にも「現状維持」「俺は努力ということをしない」などを挙げることもある。共通することは「頑張って向上する」ということを拒否した言葉だ。
「なんかいつも、みんな何年後かに私はこうなりたいとかいうでしょ。目標を持って努力して頑張ることが、いいことのように言うけど、いつも違和感があったんだよね」(フジテレビ「エチカの鏡」09年2月1日)
タモリは意外なことに中学の時、短距離走の選手になりたかったという。だが、いくら努力してもライバルに勝てなかった。そこで悟るのだ。世の中には努力ではどうにもならないことがあるのだと。
大学ではマイルス・デイビスに憧れ、トランペット奏者になりたくてジャズ研究会に入るが、「マイルスのトランペットは泣いてるだろう。おまえのトランペットは笑ってるんだよ」と言われ、司会役になったことは有名な話だ。