小島一慶さん<3>永六輔さんに喜んでもらうため喋っていた
「このラジオの前は、永六輔さんの『土曜ワイドラジオTokyo』という番組にリポーターとして出演していました。いま振り返ってみると、僕は結局、永さんに聞いてもらうためにラジオでしゃべっていたようなところがあります。僕の他に、久米宏さんや毒蝮三太夫さんも出ていましたが、3人はみんな、永さんに喜んでもらいたいからリポーターをやっているところがありました。とても厳しい人でしたよ。厳しいけど、技術さんを含めスタッフ全員の奥さんの誕生日を調べ、全員に名前入りの宝飾品を贈ってくれたりするのです。そんなきめこまやかな心配りができる人でした」
永六輔さんは独特の早口なしゃべりで、時にはつっかえたり、時には言い直したりしたものだ。
「久米さんが先日、面白いことを話していました。彼が『ニュースステーション』をやっていた時、相方の小宮悦子さんに『大事な部分はトチれ。わざとトチれ』とアドバイスしていたそうです。大事な部分、真に伝えたい部分はトチって、2回読めというのです。実は永さんも、『言葉がスムーズに出るより、ア~とか、ウ~とか言った方が人は聞き耳を立てるんだよ』と言っていた。つっかえたり、もたもたしたり……、それが人間らしい会話ってものじゃないでしょうか」