歌手・島津亜矢さんが語る 東京オペラシティに立った緊張
先生との出会いは13歳の時。真冬に先生にいわれたレストランで待っていたら、厚いセーターにマフラーをしてお見えになりました。背が高くてピンとしてらして、素直に格好いいなって思ったのを覚えています。14歳で故郷を離れ、作詞家の星野先生に弟子入り、15歳でデビューを果たすことができました。その後も目をかけてくれ、先生からは『おまえのことをすべて知っている俺が、おまえがいろいろな球を投げられるように書いた歌だから黙って歌え』といわれたんです」
まだ駆け出しの頃、星野哲郎の故郷、周防大島にベテランの演歌歌手と一緒に行く機会があった。
「毎朝、先生は家の近くを散歩するのですが、私も連れて行ってもらって歩きながらいろんな話をしてくださいました。今もその時の風景が目に浮かびます。本当に温かくて大きい人でした。どんな時でも物静かで、体にアブが止まって血を吸っている時だって慌てないんです(笑い)。初めてオペラシティで歌っている時は、そんな先生の姿がフッと思い浮かびましたね」
■背中を押してくれたマキタスポーツ
島津にとってのもうひとりの“応援団”、マキタスポーツも背中を押してくれた。面識もないのに自身のラジオ番組で“歌怪獣”と呼んで応援してくれた。
「私が歌うとまるでコンサートホールがうなっているようだと言って。それがご縁でマキタスポーツさんの恒例ライブ『LIVE@マキタスポーツ』にゲスト出演させていただきました。ゴジラの顔と私の顔を合体させたイラストで“歌怪獣”と言われた時には笑っちゃいましたけど(笑い)。コンサートにはスケジュールが合わなくて来ていただけませんでしたが、感謝、感謝です」
最近は演歌以外の歌が多い。
「演歌を歌ってない不安もあります。でも、いろんな歌に挑戦できるのは本当に楽しい。計画的に目標を立てるタイプではないので、その時々で自分が感じたまま、胸に響いたものがあればそちらを目指して進んでいきたいです」
新曲「道」(作曲・岡千秋、作詞・久仁京介)はまさに人生を歌った曲だ。
「人生、迷うことはいっぱいあるけど、壁にぶち当たって初めて知ることもたくさんあります。噛みしめながら歌っていきたいです」