「劇場版 コード・ブルー」フジ映画の面目躍如とある変化
人気テレビドラマの映画化である「劇場版 コード・ブルー ―ドクターヘリ緊急救命―」(7月27日公開)が今週、興収50億円を超え、100億円に向かって爆走中だ。強力作品目白押しの今年の夏興行でトップを争う。本作の製作主体はフジテレビである。
テレビの視聴率が伸び悩むフジだが、やはり、この局は映画が強い。これまで「踊る大捜査線」や「海猿」などのシリーズもので知られるが、とくに前者は100億円突破の作品が2本もあるなど、他局と比べてヒットのスケールが抜きんでている。そのフジが、久々に映画で勢いを盛り返してきた。
「南極物語」(83年)の昔を思わずとも、同局の映画の真骨頂は感動と涙だ。先の2大娯楽シリーズも感動と涙にもっていく。かつて「母と子のフジテレビ」というキャッチフレーズがあった。それは単に子ども向けという意味ではない。大衆性、分かりやすさが基本ということだ。その意が映画で生きている。ただ、その方向性は、あざとさと紙一重となる。
今回の「劇場版 コード・ブルー」でも最終局、怒涛の感動シーンが連打される。3つの感動的な話が並行して描かれ、その連続、ダメ押し的な攻勢力が観客の涙をあふれさせるという寸法だ。映画館では女子が大泣きし、かくいう筆者も画面が涙でくもった。フジテレビ映画の面目躍如である。