著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

映画史に名を刻む…思想でなく役柄で生きた俳優・津川雅彦

公開日: 更新日:

 津川雅彦さんの訃報に触れて最初に思い浮かべたのは若かりし頃、そしてトシをとってからの顔や表情の数々だった。若いときの飛び抜けた美男子ぶりが、人生の年輪を重ねるごとに相応の渋さを刻む風貌になっていく。それが数々の出演作品の中から筆者の脳裏に強烈に蘇ってきたのだ。津川さんはまぎれもなく映画の人だった。

 10代から20代の頃では、中平康監督の「狂った果実」(56年)、大島渚監督の「太陽の墓場」(60年)と「日本の夜と霧」(同)、吉田喜重監督の「ろくでなし」(60年)あたりが群を抜いて印象深い。この作品群は、日本映画が変革ののろしを上げた時代の産物であり、太陽族映画(「狂った果実」)や、松竹ヌーベルバーグ(「太陽の墓場」)など)と命名された。津川さんが日本映画の偉大な2つのムーブメントを支えた重要人物であったことは、映画史的に忘れてはならない。

「狂った果実」は石原裕次郎の弟役で出演した作品だ。当時16歳、年上の女性(北原三枝)に憧れる甘ったれ坊主のような風貌としぐさが魅力的だった。美男子だが鼻っ柱の強さとナイーブさを兼ね備えたちょっと屈折気味の雰囲気が、映画の新時代の幕開けを象徴していた。のっぺり型ではない。いつでも攻撃に転じ切れるとがった部分を隠し持っていた。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    露木茂アナウンス部長は言い放った「ブスは採りません」…美人ばかり集めたフジテレビの盛者必衰

  2. 2

    松本人志は「女性トラブル」で中居正広の相談に乗るも…電撃引退にショック隠しきれず復帰に悪影響

  3. 3

    フジテレビ日枝久相談役に「超老害」批判…局内部の者が見てきた数々のエピソード

  4. 4

    フジテレビが2023年6月に中居正広トラブルを知ったのに隠蔽した「別の理由」…ジャニーズ性加害問題との“時系列”

  5. 5

    フジ女子アナ“上納接待”疑惑「諸悪の根源」は天皇こと日枝久氏か…ホリエモンは「出てこい!」と訴え、OBも「膿を全部出すべき」

  1. 6

    中居正広まるで“とんずら”の引退表明…“ジャニーズ温室”育ちゆえ欠いている当事者意識に批判殺到

  2. 7

    フジテレビ労組80人から500人に爆増で労働環境改善なるか? 井上清華アナは23年10月に体調不良で7日連続欠席の激務

  3. 8

    中居正広「引退」で再注目…フジテレビ発アイドルグループ元メンバーが告発した大物芸能人から《性被害》の投稿の真偽

  4. 9

    NHKは「同様の事案はない」と断言するが…フジテレビ問題で再燃した山口達也氏の“EテレJK献上疑惑”

  5. 10

    GACKTや要潤も物申した! 中居正広の芸能界引退に広がる「陰謀論」のナゼ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松本人志は「女性トラブル」で中居正広の相談に乗るも…電撃引退にショック隠しきれず復帰に悪影響

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    べた褒めしたベッツが知らない、佐々木朗希"裏の顔”…自己中ぶりにロッテの先輩右腕がブチ切れの過去!

  4. 4

    フジテレビ労組80人から500人に爆増で労働環境改善なるか? 井上清華アナは23年10月に体調不良で7日連続欠席の激務

  5. 5

    ついに不動産バブル終焉か…「住宅ローン」金利上昇で中古マンションの価格下落が始まる

  1. 6

    露木茂アナウンス部長は言い放った「ブスは採りません」…美人ばかり集めたフジテレビの盛者必衰

  2. 7

    中居正広「華麗なる女性遍歴」とその裏にあるTV局との蜜月…ネットには「ジャニーさんの亡霊」の声も

  3. 8

    和田アキ子戦々恐々…カンニング竹山が「ご意見番」下剋上

  4. 9

    紀香&愛之助に生島ヒロシが助言 夫婦円満の秘訣は下半身

  5. 10

    フジテレビにジャニーズの呪縛…フジ・メディアHD金光修社長の元妻は旧ジャニーズ取締役というズブズブの関係