フラットライナーズ(1990年、米国)
「死ぬにはいい日和だ」
昨年公開されたリメーク版の原作である青春SFスリラーは、医大生ネルソンのそんな言葉で始まる。死後の世界に興味を抱き、大学の仲間を誘って臨死体験をしようとする。もちろん、仲間は反対。それに応じた言葉である。
そんな仲間を説得して臨死体験を行うと、見事成功。投薬により、1分間の脳死状態から蘇生させるために仲間が必死になるシーンは緊迫し、ドキドキする。
その成功を受けて、仲間3人も臨死体験を敢行。が、実験後は、4人そろって奇妙な幻影に取りつかれるハメに。ほどなく、それぞれが過去のトラウマに伴う幻影だと分かる。
ネルソンを演じるのは「24」シリーズで名前を売ったキーファー・サザーランドで、ケビン・ベーコンやジュリア・ロバーツらが仲間を名演。リメーク版より本作の方が、演出や脚本に力強さがあって面白い。名優たちの若かりしころの姿が新鮮だし、展開はスリリングかつスピーディー。最後まで一気に見られてしまう。
死後の世界は、ミステリーの永遠のテーマ。たとえば、ロビン・ウィリアムズが主演した「奇蹟の輝き」は、油絵のようなビジュアルが美しく、アカデミー賞を受賞しているが、ストーリーは陳腐でイマイチ。「奇蹟――」より8年前、今から28年前の作品でも、完成度は本作が抜群だ。