「いつも応援してくれてありがとう」と素直なメッセージ
「曲が終わると、清志郎が伏し目がちに話し出しました。『みなさん、こんにちは。RCサクセションでございます』と。『今日はホントに暑くて。しかも楽屋係の女がちょうどメンスだということでして、においが発散して臭くてたまりませんでした』と薄笑いを浮かべて言ったのです。若い女性ファンはキャーキャー。中学生の私たちはもう、いたたまれないほど恥ずかしかった。こんな傍若無人なキャラだとは夢にも思っていなかったし……」
言葉遣いだけヘンに丁寧なのも慇懃無礼だ。
「毒舌の洗礼も、ファンであるがゆえ、そんなRCが好きなんだって納得。ウソっぽい言葉を並べる売れてる人より、カッコいいって。RCは平気で、『今日はブスが多い』とか、ファンに『リラちゃん』というニックネームをつけて、実は『ゴリラのリラ』だとか。態度はふてぶてしいし、ファンをからかって面白がっていた。今思うと、照れ隠しもあったんでしょうね」
時は流れて2005年、デビュー35周年記念イベントのステージ上から、清志郎はこう言ったそうだ。
「『いつも応援してくれてありがとう』って。『こんなこと言うのは、珍しいかも……初めてかもしれない』と。まさにその通りですね。今まで聞いたことはなかった。まるで胸のうちを絞り出したようで、ファンも歓声で返していた。シンプルな言葉だからこそストレートに届きました」