「いつも応援してくれてありがとう」と素直なメッセージ
低迷期には観客数がわずか3人のライブを経験し、RC絶頂期には、にじり寄るファンの圧迫感を露骨に煙たがっていた清志郎が、いつしかナチュラルにファンとの距離を縮めていた。
08年7月6日、高田馬場ESPミュージカルアカデミーで行われた「忌野清志郎・ふぁんくらぶ祭2008RF」が、ファンを前にしての音楽人生38年間を締めくくる自らのラストライブとなった。
清志郎は足を痛めていて、椅子に座って「座り弾き語り」スタイル。実はこの時、左腸骨へのがん転移が懸念され、診断発表まであと1週間というつらい時期だった。それでも清志郎はファンの前に姿を現した。
「MCで『オレはいいファンに囲まれている』『オレは幸せ者だ』と、感謝をごく素直に伝えた。ファンのいる空間と自分がいるステージに安堵感を覚えているのが伝わってきた終始穏やかなライブでした」
若い頃、あれだけとがっていた清志郎が、最晩年にはありのままの素顔をさらけ出していた。