特別編<3>好きな女優こそメインで使わないことも多かった
碓井 そして、東宝出身の水野久美さんも新たにレギュラー陣に加わります。僕らの世代にとっては昭和40年代の東宝特撮映画のヒロインできれいなお姉さんでした。
倉本 水野久美さんは俳優座の養成所にいて、僕が俳優座のスタジオ劇団「仲間」にいた時に親しかったやつが彼女を連れてきた。個性の強い美少女でしたが、実はね、僕はひし美ゆり子さんのファンだったんですよ。
碓井 えっ、そうなんですか(笑い)。ひし美さんといえば「ウルトラセブン」のアンヌ隊員ですが、倉本ドラマには出ていないと記憶しています……。
倉本 女優の個性にもよりますが、好きだからこそ起用しなかったり、メインキャストとして使わないことは多かったような気がしますね。たとえば、主人公が落ち込んで屋台で飲んでいると、たまたま近くのトルコ(ソープランド)で働いている女がやってきて話をする。そのトルコの女を相手に成り行きで大事なものを賭けちゃったりする。そういう役に起用していました。
碓井 逆に見る側の印象に残ったりするんですよね。
倉本 まさに、風吹ジュンや児島美ゆきもそんな感じ。そういう使い方のほうが大きな役よりも個性を出せる。ひし美さんは僕の頭の中に“財産”として常にストックされていましたね。 (つづく)
(聞き手・碓井広義 文・山田稔)
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