「夜明けのスキャット」は1社提供のラジオ番組のテーマ曲
このころ、作曲家のいずみたく先生が明治製菓のCMソングを一手に作っていらして、面識がありました。「夜明けのスキャット」は明治製菓が1社提供のラジオ番組「夜のバラード」のテーマソングだったんです。ある日、先生に「このメロディーなんだけど、好きな歌詞で歌ってみて」っていわれて、私が「ル」と「ラ」と「パ」を使って歌ってみたんです。
最初は低音の「ル」から変化して「ラ」で明るくなって、サビのところで爆発音の「パ」、最後にため息のような「ア」になって最初のモチーフに戻るパターン。文章でいえば、起承転結ですよね。それを自分の中で構築して歌ってみた。「先生どうですか」って言ったら、「いいんじゃないか」って、3回ぐらいでOKになっちゃって(笑い)。
昭和43(1968)年10月からのラジオ番組放送後「この曲、何? どこから抜粋したの?」とか「チョコレートのコマーシャルの人?」って問い合わせが殺到したんです。それでいずみ先生がシングル盤にしたら売れると判断して、後半の歌詞を山上路夫先生に「哲学的な歌詞を書いてくれ」って発注したんです。そして翌44年3月、ちょうど短大を卒業する時期についに発売になって爆発的なヒットになるのだけど、3月29日には結婚しちゃうの、私。