地方は公開中止…豊田監督逮捕で松田龍平主演作どうなる?
映画ジャーナリストの大高宏雄氏はこう言う。
「『泣き虫しょったんの奇跡』はプロを目指す棋士の話で瀬川晶司五段の自伝的作品。主人公を演じる松田は、羽生善治や谷川浩司たちのように突出した才能の持ち主ではないが、幼いころから将棋のプロだけを目指す人生への葛藤などをオーバーアクトに頼らず、淡々と自然体に演じていた。各映画賞で評価された『舟を編む』(13年)に通じる役どころで作品の派手さはないものの、彼の代表作の一本といっても過言ではない。豊田監督にとってもそれまでの尖った作風とは一線を画す新境地といえ、お蔵入りしてしまうには実に惜しい作品です」
豊田容疑者は自身もプロ棋士を目指し9歳で奨励会に入会した過去を持つ。2012年、日刊ゲンダイの取材では「中学の頃は昼間から将棋サロンに入り浸りでサラリーマン相手に1局1000円で勝負してました。毎日20局以上は指して、3万円ぐらいは稼いでいました。この頃の方がお金があったかも(笑い)」などと目を細めながら懐かしんでいた。
そんな自身の原点ともいえる将棋の世界を描いた1本で、作品はおろか、これまでのキャリアに幕を下ろすことになったとしたら、なんとも皮肉な話である。