料理ができない父親が1人暮らしに…食事問題をどうする?
東日本に住む50代男性は先日、お母さまを急に亡くされました。明るく、活動的で、新しいことへのチャレンジに意欲的だったお母さまだったそうで、まさか別れの日が来るとは、家族みんな想像していませんでした。いまだに信じられず、電話をすると「あら、どうしたの~?」という元気な声が聞こえるのではないかと思っているそうです。
ただ一方で、現実問題として浮かび上がってきたことがあります。それは、1人暮らしになったお父さまの食事をどうするのか。
80代後半に差し掛かるお父さまは、お母さまと同様に明るく、活動的で、新しいことへのチャレンジに意欲的な人柄ではあるものの、料理に関してはこれまでノータッチでした。
お母さまの料理は玄人はだしで、盛り付けもまるでお店のようだったそうです。配食サービスをお願いするとしても、これまでの食生活と一変することは想像に難くない。
親を亡くした経験を持つ周囲の友人、知人に話を聞くと、一様に「食事を作れない側が残されると本当に大変。次第に食べなくなっちゃって、栄養状態も悪くなっちゃって……」という返事。ある人は、高血圧の父親に「塩分の取り過ぎに気をつけて」「総菜を買う時は野菜料理も選んで」などと最初は注意していたそうですが、そのうち「食べてくれるだけでありがたい」と、血圧のことはいったん忘れることにしたそうです。男性は、お父さまの食事問題の解決策をまだ見いだせていません。
一方で決めたのは、「食事を自分で作って食べる楽しみを身につけ、育てていこう」ということ。2023年の日本人男性の平均寿命は81.09歳。それまで生きるとすると、あと30年弱あります。「誰かとの食事は楽しい、でも1人の食事も楽しい」と思える生活をしっかり確立していこう、と。
たとえば冷ややっこを食べるにしても、そのまま食べるよりは、すりおろしたショウガと鰹節やネギをかけた方が食の楽しみが増す。チリメンジャコをのせて熱したごま油をジャッとかければもっと楽しい──というふうに。