紫外線を利用した「光線療法」は難治性の皮膚病の強い味方
紫外線がこれからどんどん増えてくる。美肌を考えれば、シミやシワを増やす紫外線は「敵」だが、乾癬、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、白斑など治りにくい皮膚の病気には「味方」になるかもしれない。名古屋市立大学では紫外線を活用した光線療法を1970年代から研究・開発し、治療に役立てている。同大医学部皮膚科学の森田明理教授に話を聞いた。
治りにくい皮膚の病気のひとつに白斑がある。免疫系の異常で色素細胞のメラノサイトが破壊され、皮膚や粘膜に白い斑点ができる病気だが、森田教授によれば「紀元前にはすでにエジプトで白斑の治療に紫外線が用いられていました。ある植物抽出液を塗布して太陽の光に当たると、色素再生をもたらすことが知られていたのです」と話す。
紫外線(UV)は太陽から発せられる電磁波の一種で、目に見えない光線だ。波長と特徴でUVA(波長320~400ナノメートル/ナノは10億分の1)、UVB(280~320)、UVC(100~280)に分かれる。
「紫外線の照射によって、病気を引き起こす免疫細胞を壊し、免疫が自分の体を攻撃することを抑える制御性T細胞を増やします。結果、乾癬、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、白斑といった自己免疫疾患の治療に役立ちます」(森田教授=以下同)