“忍者”FW前田大然は森保Jの秘密兵器になるのか…スーパーサブからますます増す存在感
サッカー日本代表FW前田大然(27=セルティック)が果敢に相手ゴールに迫った。
昨25日のサウジアラビア戦で最終予選初スタメン。開始14秒に相手DFがクリアしようとしたボールをブロックし、会場を沸かせれば、前半9分にはMF田中のスルーパスから抜け出し、右足でシュート。これは右のポストに嫌われた。前半19分には相手DFが縦に蹴り出そうとしたボールを持ち前の素早いプレスでカット。ドリブルでゴール前へ持ち込み、左足のシュートはGKにキャッチされたものの、随所で自慢の「足」は健在だったと言っていい。
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かつての丸刈り頭を封印。シルバーヘアが板についてきた男のサッカー人生は、節目ごとに大きな困難に直面してきた。
中学まで出身地近くの大阪・河内長野のクラブチームでプレーし、高校は強豪・山梨学院にサッカー留学。高1の冬に事件が勃発した。同級生を冗談半分にからかったことが問題視され、サッカー部の活動を自粛させられてしまったのだ。
「当時の監督から『大人と接することで社会性を身に付けなさい』と言われ、毎朝5時にパン屋に通い、パン作りの手伝いや清掃作業を黙々とやった。早めに登校して教室の掃除や整理整頓を率先してやり、授業を終えて放課後になると、地元社会人チームの日川クラブの練習に加わる日々。1年後にサッカー部への復帰が許されたが、この期間に前田はメンタル的に大きく成長し、サッカーにより真剣に向き合うようになった」(サッカー関係者)
2016年に松本山雅に入団。2年目に期限付き移籍先の水戸で13得点、19年7月にポルトガル1部マリティモに期限付き移籍した。本拠地はポルトガル本土から南西に約1000キロ離れたマデイラ諸島。大物のクリスティアーノ・ロナウドの生まれ故郷として知られるが、ここで未曽有の厄難に遭遇する。
「20年3月、世界中を震撼させた新型コロナウイルスによって国内リーグ戦が中止となり、クラブも活動停止となった。政府の非常事態宣言も延長されるなど状況は悪化するばかり。当時、前田は妻と生後8カ月の娘との3人暮らしだったが、離島なので日本語の通じる病院はなく、前田一家はコロナの感染にビクビクしながら、息をひそめるように暮らしていた。大きなストレスによく耐えたものです」(前出の関係者)