映画「二宮金次郎」シネコン上映せず車で全国配達するワケ
TOHOシネマズに続き、109シネマズや新宿バルト9も来月1日から映画館の観賞料金の値上げを発表。一般料金は1800円が1900円に。そんな中、映画館では上映しないという選択をした作品が話題になっている。
薪を背負った銅像でお馴染みの二宮尊徳の生涯を描いた映画「二宮金次郎」(主演・合田雅吏)だ。都内での本上映は6月1日からだが、すでに多くの中学校や高校、企業から依頼があり、専用の“二宮金次郎カー”に機材を積み込み、全国に作品を届けているという。
「映画館と同レベルの映写機を購入し、スクリーンは6メートル。市民館や公民館などでも、大迫力で観賞してもらうことができます。依頼があればどこにでも向かいます」と話すのは、五十嵐匠監督。これまでに「長州ファイブ」や「地雷を踏んだらサヨウナラ」などの作品を手掛けてきた。
シネコンで上映されることも決まっていたというが、それをキャンセルしてまで全国に“金次郎カー”で届けることを選んだのは、なぜか。
「完成記念試写を小田原の公民館で行ったのですが、その時に80代の老夫婦がシルバーカートを押して会場にやって来た。上映後は感激して私の手を握って離さなかったんです。その姿が忘れられなかった。この作品は決して、ポップコーンの匂いが漂うシネコンで上映するものじゃない。いろんな事情があってシネコンに足を運べない人にこそ見てほしいと強く感じたんです」(五十嵐匠監督)