紙切りの基本は「動物」…馬、牛、虎、ウサギと十二支から
それから2代目正楽に紙切りを習い始めるのだが、紙切りの稽古はどのようにするのだろうか。
「まず、師匠が切ったお手本の馬を渡されて、同じ物を切ることから始めます。何十枚も切る。一枚くらいうまく切れたかなと思えるのがあるんだけど、師匠に見せるとダメって言われる。確かに見直すと、自分でもひどいと思う。ようやくお手本に近い物が切れると、こんどは馬が走っているところ、歩んでいるところ、さまざまな形の馬を切ります。馬の次は牛、虎、ウサギなど十二支の動物に移ります。干支の動物は寄席でよく注文されますから。十二支全部が切れるようになると、ライオン、象、ゴリラといった動物園でお馴染みの動物になる。動物はいろんな動きをするので、紙切りの入門テーマに向いてるんですね」
動物は紙切りの基本。落語家の前座噺に当たるのかも知れない。
「動物が終わると、ようやく人間を切れます。最初は着物の女性の立ち姿でした。舞子さん、芸者など、お客が見てすぐにわかる形ですね」
紙切りの稽古は落語家よりも大変そうだ。好きでなければ続けられない。