素質は十分…落語界史上初「3代現役」の可能性が出てきた
親子で同時代に活躍した落語家はいたが、3代揃ってというのはいまだにない。ところが、2015年に木久蔵の長男が林家コタの芸名で、父親の芸歴20周年記念公演で初舞台を踏んだ。私は客席で見ていたが、とっても口調がよく、はきはきと「桃太郎」の小噺を演じたので驚いたものだ。これで歌舞伎役者みたいに、3代が現役という可能性が出てきた。
「コタが生まれた時に、『将来、木久蔵を継がせなさい』って言われましたから(笑い)。俺はつなぎかよってツッコミました。ただ、今10歳で小学校5年生なので、まだどうなるかわかりません。僕の場合、幼い頃からある程度落語を教えてもらってたらどうなっていたかと思うことがあるんで、コタにはその環境を感じ取って欲しい」
祖父の木久扇はどう考えているのか。
「うれしいですね。孫のためにも、できるだけこの世にいてあげなくちゃと思ってます。僕が稽古をつけてて、今『初天神』を覚えてる最中ですが、とってものみ込みが早い。それに高座に出ても上がらない。これには驚きです。でも、必ず落語家になれというわけじゃない。あくまでも当人の意思を尊重します」