著者のコラム一覧
井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

G20がどうした?どれだけ大勢が生活的に虐められているか

公開日: 更新日:

 オリンピックも世界平和のためというが、それも適当に言うヤツがいるだけだ。東京五輪の聖火ランナーの公募が始まったという。福島から走り出して、全国を津々浦々をリレーするって。走りたい人がいるんだろうが、我らは何とも感じない。コースの沿道で笑顔で国旗を振って、声援を送らなければダメなのか? 非国民になるっていうのかな。どうせ、地方も国もこの聖火運びで税金を浪費するだけだ。

 とにかく、五輪反対派の我らには目障り、迷惑千万だ。

 ところで、先週に続いて、「アメリカン・ニューシネマ入門」ということでさらに紹介したい。蒸し暑い梅雨の夜、トランプ外交がどうした、日韓はどうなんだと騒ぐ世間など忘れて、ビールでも飲みながら見たら、気も休まって何か発見できるかもだ。ラストシーンで87発の銃弾を浴びて殺されるボニーとクライドを描いた「俺たちに明日はない」の脚本家ロバート・ベントンが、負けてなるかと自ら監督した「夕陽の群盗」なんていう西部劇もいい味を出している。近代アメリカが始まる夜明け前の話だ。無法者が跋扈(ばっこ)する、銃が頼りの荒野で、人間は何を信じて生きていけばいいのか、文明とは何なのかを伝えてくれたニューシネマだ。

 てなことを言ってたら、今日(5日)、封切られたばかりの新しい西部劇、「ゴールデン・リバー」も同時代の文明開化がテーマで面白い。暴力支配、民主主義とは何か、欲望の資本主義、それらを見事なサスペンスで描いている。比べて、邦画の幼稚なこと。教わることが何もなさそうだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動